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2010.12.26 人類の進歩
まだ知られていない事情(カルマ的規定)のために、
自分の人生をたった一つの目的に捧げる、
偉大な思想家が時たま現れる。
その人達は人類の進歩を予期することができ、
重要な結果をもたらす宗教や哲学をつくることができる。
しかし、歴史をひもとけば、
新しい意見の源は、一人の人間にあるかもしれないが、
その新しい意見をつくり出したあとの結果は、
それが広められている国民の状態によることは明白だろう。
もしある宗教と哲学とが、
ある国で国民の意識と比べてあまりにも先んじていると、
人々の心がそれを受けとれるほどに熟すまでは、
それらは当面の役に立つことはできず、
時を待たなければならない。
どの科学にも、どの宗教にも殉教者がいた。
歴史の普通の成り行きによれば、
ニ、三世代が過ぎて行くと、
次にこうした真理が当たり前な事実と見なされる時が来る。
それから少したつと、別の時代が来て、
そうした真理は必然的であると宣言され、
最も頭の悪い人達でさえも、
どうして昔の人々はそれを否定したのか、
いぶかることになる。


H・J・バックル「英国文明史」




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