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2009.04.16 魂の不滅
「人間の専心する対象は、肉体にはなく、
できるかぎり肉体から離れて、魂のほうに向けられていると思えないかね?」

「そう思われます。」

「そうすると、まず第一に、いまあげたような事柄において、
哲学者とは、とくに他の人間たちとちがって、
自分の魂をできるだけ肉体との結びつきから解放しようとするものだということが、
明らかではないだろうか?」

「明らかにそうです。」

「何かを考察するにあたって、
そこに肉体がいっしょに加わるときは、明らかに魂は、肉体にあざむかれるわけだね?」

「おっしゃるとおりです。」

「それならば、事物の真相がすこしでも魂に啓示されうるような場合をもとめるとすれば、
それは、思惟のはたらきのうちにおいてではないだろうか?」

「ええ。」

「しかるに、その思惟のはたらきが最もよく行われるのはいかなるときかというと、
それは、魂がそういった肉体的な何ものにも―聴覚にも、視覚にも、苦痛にも、快楽にも―、
わずらわされることなく、肉体をふりきって、できるだけ純粋に魂そのものだけとなり、
そして、可能なかぎりは肉体との共同も接触もしりぞけながら、
ひたすらものの実相をめざしてあこがれ努力するときなのだ。」

プラトン「パイドン」




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