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2010.03.23 独立の気力
国の文明は形では評価できない。
学校といい、工業といい、陸軍といい、海軍というのも、
すべて文明の形にすぎない。
この形を作るのは難しくなく、単にお金で買える。
だが、ここにまた別の、無形のものがある。
このものは、目に見えず、耳で聞けず、
売り買いも貸し借りもできないが、
国民の間にすみずみまで存在し、その作用はとても強い。
これがなければ、
そうした学校などの文明の形も実際の役に立たない。
まことに、これは文明の精神というべき、この上なく大事なものだ。
そのものとは何か。
国民の「独立の気力」である。

総じて世間の事物は、
進歩しないものは必ず退歩し、退歩しないものは必ず進歩する。
進歩も退歩もせずに停滞するものはあるはずがない。
今の日本の状態を見ると、文明の形は進歩しているように見えるが、
文明の精神である国民の気力は日々に退歩に向かっている。

文明の事業を行うのは民間人であり、
文明を守る者は政府である。
そうであってこそ、一国の民は文明を自分のものとして持ち、
文明を競争し、他をうらやんだり自ら誇ったりし、
国に一つ良いことがあると、
全国の人々は手を打って快哉を叫び、
ただ外国に先を越されることを恐れるだけという状態になる。
このため、文明の事物はすべて国民の気力を増す道具となり、
何事も国家の独立の助けとなる。

商売に励め。
法律を論議せよ。
工業を起こせ。
農業を促進せよ。
著述し、翻訳し、新聞を刊行せよ。
およそ文明の事業はすべて自分の役割と考え、
国民の先頭に立って政府と助け合うべきだ。
政府の力と民間の力とが釣り合って、国全体の力を増し、
現在の弱々しい独立を、ゆるぎない基礎の上に置き、
外国と競争して一歩も譲ることのない状態にしよう。


福沢諭吉「学問のすすめ」




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