fc2ブログ
フランス人探検家、
アレクサンドラ・デビッドニール氏は驚くべき女性です。

1910年代に、チベットが、まだ白人禁制の時代に、
入国を果たし、当地でラマ尼僧となり、以後30年近く修行に明け暮れます。

帰国後は、チベット財団を設立し、東洋思想の啓蒙に努めています。

現ダライラマ14世は、彼女のことをこう回想しています。

「デビッドニールは例外だった。彼女のような独立的女探検家は普通でないばかりか、
サンスクリットと仏教哲学に通じ、またチベット語を話して、
先住民と自由に心を通わせたヨーロッパ人は極めて、稀である。」

102才で生涯を閉じるまで、敬虔な仏教徒として生き、
40冊を超える著書の出版、重要な経典の翻訳をしています。

彼女は、その著書で、
今や、消滅寸前の貴重なチベット仏教の真の姿について報告しています。




科学知識の増大によって、
現代人の超常現象に対する魅力が失われたと考えるのは、大きな誤りである。
心霊現象や奇跡、魔術への信仰は、中世と同様に、今も根強く生きている。
われわれが得たのは、異端審間を恐れることなく、これらの現象について語り、
体験する自由ぐらいなものだ。わたしは、長年、チベットで生活してきたため、
様々な理由で訪れてくる人々から、奇跡を披露してほしいと、会う度に要求されてきた。
好奇心を満たそうという単純な気持ちの人もいれば、試験に合格したい、
仕事運をよくしてほしい、病気を治してほしいという人、
中には、犯罪がうまくいくよう祈願してほしいという者までいた。
復讐心に燃えて、浮気中の夫とその相手を殺してほしい、と申し出てくる婦人もいた。
むろん、ピストルで身を固め、不倫する男女に立ち向かえということではなく、
遠距離から呪い殺せという意味である。
このような人々は、チベット人が奇跡を信じていないことを知ったら、さぞ驚くに違いない。
彼らは、われわれが驚異とみなす超常現象は、
例外的条件の下で自然のエネルギーが作用したものか、
そのエネルギーを操る術を心得ている者の手腕によるものか、さもなければ、
超常現象の物質的、精神的メカニズムを動かす要素を持っている人が、
知らずに行っているにすぎない、と考えているのだ。
チベット人はまた、人間に想像できるものは、
みな実現が可能であると信じる傾向がある。
外的事実に対応していないものを、人間は想像できないからであるという。
これと関連して、チベット人はまた、非常に強力かつ継続的な凝念によって、
生き動く実体までも作り出せる、と信じている。
いずれにせよ、どの場合にも、自然のエネルギーが自発的に働いているか、
能力のある者がそれを操っているということなのである。
また、こうした人々が人間以外の存在から助けを受けている場合もあり、
このような信仰はチベットでは根強い。
それはまた、われわれ西洋諸国でも広く行われていることでもある。
諸聖人への祈り、願かけのために彼らに供物を捧げる習慣などは、
類似の信仰に由来するものではなかろうか。


「チベット魔法の書」



クリックして愚僧の活動に御協力ください。
スポンサーサイト



Secret

TrackBackURL
→http://souryonotakurami.blog46.fc2.com/tb.php/580-47549b14